- 7人に1人から、9人に1人へ
日本の子どもの相対的貧困率は11.0%(2025年調査)。9人に1人の子どもが、世帯所得の中央値の半分以下で暮らしている。前回2021年調査の11.5%から微減したが、構造は変わっていない。
参照(厚生労働省・国民生活基礎調査):
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa25/dl/14.pdf
参照(政府広報・こどもの貧困):
https://www.gov-online.go.jp/article/202303/entry-9841.html
ひとり親世帯に限ると、貧困率はもっと高い。日本の子どもの貧困は、OECD加盟国の中でも高位で推移してきた。
- 防衛費は10.6兆円
令和8年度の防衛関係費は10.6兆円。対GDP比1.9%で、NATO基準の2%にほぼ達する水準まで引き上げられた。
参照(日本経済新聞・防衛関連費GDP比1.9%):
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA170ZV0X10C26A4000000/
並べてみる。
・防衛関係費(令和8年度):10.6兆円
・OSA(令和8年度、第4話):181億円(4年で約9倍)
・対米投資枠組み(第5話):85兆円
・宇宙戦略基金(第6話):1兆円
この全てが「法律を通さない」「国会審議が薄い」形で拡大してきたものである。
- 子どもの財源は「支援金」——負担は現役世代へ
子ども・子育て政策の財源として新設されたのが「こども誰でも通じる支援金制度」(こども未来戦略)である。公費を充てず、医療保険料に上乗せする形で国民・企業から徴収する。被保険者1人あたり月額およそ1,000円。2026〜2028年にかけて段階的に引き上げられ、支援率は0.4%規模まで上がる。
参照(こども家庭庁・子ども・子育て支援金制度Q&A):
https://www.cfa.go.jp/policies/kodomokosodateshienkin/faq
参照(第一生命経済研究所・支援金の負担試算):
https://www.dlri.co.jp/report/ld/322043.html
防衛費の増額は国債と歳出で賄われ、子ども対策は現役世代の保険料の上乗せで賄われる。拡大のしかたが、目的によって違う——防衛と宇宙と対米投資は青天井で、子どもは「受益者負担」の枠に収められている。
- 国連は何度も勧告している
国連の児童の権利委員会は、日本に対して子どもの貧困対策の強化を繰り返し勧告してきた。2018年には、国連の極端な貧困と人権に関する特別報告者が、日本の生活保護削減方針に懸念を表明している。
参照(日弁連・子どもの権利条約 報告書審査):
https://www.nichibenren.or.jp/activity/international/library/human_rights/child_report-1st.html
日本政府は勧告を「受け止める」と繰り返し、制度はほとんど変わらなかった。
- 問い
・9人に1人の子どもが貧困にある国で、防衛費10.6兆円と対米投資85兆円が「説明の薄いまま」拡大するのはなぜか
・子ども対策だけが保険料の上乗せ——現役世代への負担転嫁——で賄われるのはなぜか
・国連の勧告を受け続けて制度が変わらないとき、変える力はどこにあるのか
結論は書かない。数字は厚生労働省・こども家庭庁・防衛省の公開データである。
このシリーズで並べてきたもの——食料37%、大豆6%、フィリピンの借金、OSAの約9倍、85兆円、月の1兆円——の全ての先にいるのは、この11.0%の子どもたちである。負担はいつも、声を持たない側に向かってきた。
(執筆: 2026-09-24 / 参照した資料の複製は全て保存済み。元リンクが切れた場合はコメントでお知らせください)
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